INTERVIEW
「日本中に足元からハッピーを届ける」元警察官のシューシャイナー 【いとの靴磨き屋さん】伊藤 由里絵さん
靴磨き女子部が様々な職種で活躍する女性にインタビューするシリーズ。
今回は2020年5月にお店「いとの靴磨き屋さん」をオープン、フリーシューシャイナーとして活躍されている伊藤 由里絵さんにお話を伺いました。
伊藤 由里絵さん
警察官、白バイ乗りの経歴を持つ。警察官時代に靴磨きの大切さを教えられ、現在はモデル・役者をしながら「いとの靴磨き屋さん」をオープン。「日本中に足元からハッピーを届ける」をモットーに東京都北区王子に拠点を置きフリーで活動中。 (https://itto.themedia.jp/より引用)
元警察官という異色の経歴をお持ちの伊藤さん。
―シューシャイナーの道に進んだ経緯を教えてください。
警察官をしていた時に靴磨きと出会いました。「いい仕事は整った身だしなみから」という教訓があり、靴磨きや制服のアイロンがけが毎日の習慣でした。その時の教えが退職後も身についていて、靴に限らず大切なものは新品の状態を写真に撮って、劣化や汚れ、型崩れ等がないように日々手入れをします。毎日過ごしていると、ちょっとした型崩れや変化になかなか気づかないですよね。写真に残しておくと変化がわかりやすいのでおすすめです。
「ものを大切に」という心がけのなかで、靴磨きについて勉強し始めたところその奥深さに魅了され、どんどんハマっていきました。他の人にも靴磨きのすばらしさ、大切さをもっともっと広めたい!そう思ったのがきっかけです。
―「靴磨き」についての想いを教えてください。
女性がもっと手軽に行えるようなアイテムが増えると嬉しいですね。パッケージデザインがおしゃれなポーチや袋に入った商品のセットみたいなものがあると、個人的にとっても買いたいです!(笑)
例えば化粧品だとクリスマス時期になると各コスメブランドからコフレ(化粧品の詰め合わせ)が出ますが、そのおしゃれなコフレのポーチやボックスを見るだけで毎年ついつい買ってしまうので…。
まだまだ女性には(靴磨きが)浸透していないと思うんです。私をきっかけに、靴磨きに興味を持ってもらえたらいいなと思います。
―ご自身の靴を磨くときの習慣やこだわりはありますか?
帰宅後には必ずブラッシングをして、良い状態を保てるようにしています。茶靴は好きな色味になるように育てています。もともとはミディアムブランなのですが、オレンジっぽい褐色が好きなので、コニャック系の色で塗り込むのがこだわりです。
―中でもお気に入りの靴はありますか?
ジョンロブのアルフォードです。靴磨き職人として活動をスタートしてから初めて買った靴です。高級な靴が似合う女性になるために購入した思い出の一足です。
―モデルのお仕事もされているとのことですが、革靴との合わせ方やファッションのポイントについてお聞かせください。
ファッションはシルエットを重要視しています。
靴をあえて室内の姿見の隣にインテリアすることでコーディネートを考えるとき足元までトータルコーディネートできるようにしています。モデルという仕事柄いろんなジャンルの服や靴を着用しますが、一番綺麗なシルエットになるよう、全体のバランスをよく見ています。
―挑戦したい、または狙っている革靴はありますか?
トリッカーズのカントリーブーツ黒を考えています!他には、サンダースのミリタリーダービーも狙っています。両方とも好きなブランドなんです。甘めのスカートにもパンツスタイルにも、バイクにも合いそう!
―お仕事の中で一番のやりがいは何ですか?
お客様の喜ぶリアクションを直に感じられるところです。
バイクで日本一周をしたという同い年の女の子のブーツをお手入れしたことがとても思い出に残っています。
日本一周中にどしゃぶりに遭ったり転んだりしたため、ブーツの状態ははっきり言ってよくありませんでした。とても汚れた状態で靴紐も千切れかけていたので。それでも丁寧にクリーニングとお手入れをしてお返ししました。そしたら、「捨てようと思っていたけど思い出だから捨てられなくて…またこの靴で走れます!」と言って喜んでいただけたんです!本当に嬉しかったです。
靴には皆さんそれぞれの思い出がたくさん詰まっていて、それを聞きながら靴磨きをすると皆さんの思い出を少しでも共有できた気持ちになり、とても嬉しくなります。
―お客様の目の前でする靴磨き、喜びや笑顔を見られるのはとてもやりがいを感じられそうですが、緊張してしまうことはありませんか?
一人でも多くの方に笑顔を届けること、私自身が明るい存在であることをモットーにしているので、緊張するときもありますが「楽しい気持ち」をお届けできるようにしています。
いつも友達や周りの皆さんと接するなかでたくさんのパワーをもらっているので、私が会う人みんなにもパワーを送ることができるように心がけています。
―伊藤さんご自身について。休日はどのように過ごしていますか?
大好きなラーメンを食べたり、バイクを走らせて温泉に行ったりしています!ラーメンは豚骨と味噌が大好きです。おすすめのお店があったら教えてほしい(笑)今はコロナ禍ということもありなかなかお出かけできませんが、趣味のバイクに乗って遠出するのはとても良いリフレッシュになります!
―最後に、今後の目標について教えてください。
バイクの業界に靴磨きの文化をもっと広めていきたいです。
バイク乗りはレザーとの関わりがとても強いので、ぜひ皆さんにお手入れの楽しさもお伝えしていきたいと思います。
また若い世代にもアプローチをしていくことで、革靴業界を盛り上げていきたいと思っています。
―私たち靴磨き女子部も一緒に、革靴業界・シューケア業界を盛り上げていきたいと思います。伊藤さん、ありがとうございました!
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