INTERVIEW

手でしか出来ない靴作りの「意味」を感じ取れたときが、喜びの瞬間【kisakishoes】木佐木 愛さん

靴磨き女子部が様々な職種で活躍する女性にインタビューするシリーズ。

今回は神奈川県横浜市にある手製靴工房kisakishoes (キサキシューズ)の木佐木 愛(きさき めぐむ)さんにお話を伺いました。

kisakishoes 木佐木 愛さん


—- 現在のお仕事内容を教えて下さい。 

小さな靴工房の製靴業を一人で行っています。
お客様の足に合わせ、左右それぞれの木型からお作りする注文靴のほかに、靴作り教室、個展、革を使った小物や履物やベビーシューズのワークショップ、など手作り靴に関するさまざまな活動をしています。

— キサキシューズさんのInstagram @shoe_poetry(https://www.instagram.com/shoe_poetry/)も拝見していると、色彩豊で唯一無二なデザインの靴たち、とても心が踊りますね。

—- 今のお仕事に至った経緯を教えて下さい。

大学を出て、突然「そうだ靴職人になろう!」と閃きました。
教えることにも興味があったので、学び始めた当初から、お教室の開催も視野に入れていました。
大学時代は三原康弘さんやパトリックコックスなど、洋服のデザイナーと同じように、若い靴デザイナーが脚光を浴びていて、そういった気配を捉えた雑誌なども面白かったし、無意識に影響されていたかもしれないですね。
靴の世界は自分にとって全くの未知で、ワクワクする分野でした。製作する上で影響を受けたのは、靴そのものよりも 絵画や映画など、別の文化圏な気がします。



—- 靴工房を運営されているなかで、一番の「やりがい」や「喜び」を感じする瞬間はどんなときですか?

手でしか出来ない靴作りの「意味」を感じ取れた時はうれしいですね。

例えば、注文靴の場合、お客様がご自身の足の形を受け入れ、ご自身の足の木型からできた靴を、日々に必要な当たり前の存在として過ごして下さっているとき。靴づくりの教室では、生徒さんがご本人に一番似合う靴を作って、笑って履いていらっしゃるとき。そして、自分の時間の中では、作ろうとイメージしたものの、「斜め先の物体」が出来上がったときです。

—- 「斜め先の物体」が出来上がったときとは?

靴というのは構造上、その場のヒラメキや思いつきをデザインに乗せて行くのは難しいのですが、自分の創作の過程でずっと思っていたのは、制作気分や勢いを乗せた靴、なおかつ歩ける靴、が作りたい、ということです。

頭の中にあるイメージに向かって手を動かしているとたまに、思っていたのとは違うけれど思いがけない面白さが出てくることがあり、それが楽しいです。デザイン画を描いてそこに向かう、という靴作りはオーダー靴では必要な制作過程です。しかし、到達地点がデザイン画を超えることはありませんが、一方でそのような靴作りの面白さとはまた違った、靴作りもあると思っています。

—- 足元やファッションについて。どのような靴やファッションが好きですか?

心地よさにプラスして、ふと下を向いた時に楽しい気持ちになる服や靴が好きです。
靴は、分からないくらい沢山所持していますが、ちゃんと履き回しているのは15足くらいですかね!
古着屋やミュージアムなどで見る古い靴、古今東西の手製靴にドキドキします。

—- 革靴にまつわる思い出深いエピソードはありますか?

幼少期に母に買ってもらった黒い革のワンストラップシューズは、自分にとって靴が特別になった原点の1足だと思います。いまだ、ワンストラップシューズには強い憧れがあります。大切な思い出です。

—- 靴やレザーアイテムのお手入れについては、どのように感じていますか?

靴はブラッシングとクリームでケアして、ワックスで光らせ過ぎないお手入れが好きです。M.MOWBRAYのクリームは工房にも常備していて、お客様にもオススメしています。

お客様や生徒さんのお話を伺うと、女性は特に靴磨きのお手入れをする習慣がない方が多いと感じているので、ビジネスシューズ以外の革靴でもいかに簡単に自分でお手入れできるかを、難しくならないように、道具を含めてお手入れ習慣の入り口を作りたいです。

あと、靴を保管するときは、服の衣替えと同じく、シーズンごとに履く靴はしまいこまないで、目に入るように並べるようにしています。靴をすぐに履けるので、新しい組み合わせなどを試しやすいです!


—- ご自身の生活の中で、物を大切にするために習慣としていることはありますか?

断捨離ブームに惑わされないことです。自分の”好き”を信じるようにしています。


— おすすめの靴やアイテム、または挑戦したい靴やアイテムを是非ご紹介下さい。

夏の毎年の楽しみに、賑やかで新しいサンダルシリーズを製作しています。
自分自身も、革の心地よい感触を感じながら、明るい足元をとっかえひっかえ楽しみたいです!

— 靴作りをとおしてさまざまな活動をされている kisakishoesさん。その中で、ベビーシューズ制作のワークショップ、個人的にもとても興味があります。自身の子ども用にはもちろんですが、知人や家族へ想いをこめた贈り物ができそうですよね。


— 今後の活動もInstagramなどから楽しみに拝見させていただきます。木佐木さん、貴重なお話の機会をありがとうございました。

—-下記HP掲載情報

Kisakishoes HP

https://www.kisakishoes.com/

Instagram

教室&オーダー@kisakishoes_kisaki

https://www.instagram.com/kisakishoes_kisaki/

日々の創作@shoe_poetry

https://www.instagram.com/shoe_poetry/


2022-11-22 | Posted in INTERVIEWComments Closed